学生達の共同実験を紹介しましたが、良く一般の方々から「何のための研究ですか?」と聞かれることがあります。いやこれ、研究じゃ無いんです。教育です。
一方、例えば人類はもう50年も前に月面に到達しているわけじゃ無いですか。なのに何故今、月に行くのがそんなに大変なのか…というと、実はもうアポロ時代の技術だったり、もっと重要なのは製造ラインや部品が失われてしまっているのです。
技術というのは完成した瞬間に失われていきます。またそれに係わった人間も、その瞬間から忘却が始まるし、後世に技術やノウハウを「完全に」伝えていくことは限りなく不可能なのです。そうやってどんどんと失われていく。
常に様々な技術レベル・知識レベルにおいて、反復学習が行われ、経験が積まれないと、我々が暮らす高度な技術社会は発展どころか維持すら出来ないのです。
ただ科学技術の恩恵だけを盲目的に受けているとピンとこないかもしれませんが、少しでも自分の手で作り出す・支える作業を行った人には、分かってもらえる話かと思っています。
我々教員は、学生達にそういう「教育」を行ってるんですが、一方で学生達は「俺たちの最先端の宇宙開発」をやってるつもりで居てくれて全然良いんですけどね。
今日もアリアンロケットやHⅡロケットが飛んでいます。でもそれは、自分達でない「誰か」が飛ばしているロケットで、自分達はそれを作れない。だから、そんなロケットを作った人達が学んだ道のりを、自分達もまた一歩一歩登る。そうやって明日のロケット技術者、宇宙技術者が育っていくのだと思ってます。
国内でのロケット打上実験は不定期でその年毎によっても開催が変わりますが、8月お盆明けには秋田の能代で、9月や10月には和歌山の加太と伊豆大島で、また3月頃にも加太・伊豆大島で実施されています。その他にもちょくちょく実施されていて、見学や参加が可能です。
詳細情報はまだ建設中のサイトですが、SORA EDUCATIONで今後、見ていただくことが出来るようになりますので、お楽しみに!
秋山演亮